「お尻から足が引っ張って、痛くて歩けない、仰向けに寝れない」
90歳の女性
初めてお会いしてから、3ヶ月、会うたびに同じ話をしてくれます
「坐骨神経痛やから、しゃーないわ」
と言いながら、家事全般を担われています
家が広くて、段差もたくさん
毎日よく動かれてます
でも会うたびに痛くて動けないと話してくれる
いやいや、動けてますよとは言わない
この方にとっては、「動けない」のだから
若い時と比べて、10年前と比べて、1年前と比べて、何かの基準で「動けない」と判断している
最初の3ヶ月間でお伝えしたのは、座位でのボディワーク
坐骨の位置を確認
坐骨を前後、左右へ転がす、時計回り、半時計周り転がす
これだけ、暇があったら続けて下さいと伝える
こちらから痛みについての質問はしない
「そう、痛いんよ」と必ず返ってくるから
こちらから痛みに注意を向けさせることはしない
ただただ坐骨を転がすことを続ける
こちらかは聞かずとも、痛みの訴えは続くが、段々と訴え方に変化が現れる
少しずつ、無意識の中で表現が和らいでいる印象
3ヶ月同じような関わりが続き、ふと歩き方を観察すると、何やら以前に比べ楽そうに感じる
良いタイミングと思い、久しぶりにこちらから痛みについて質問をしてみると
「足の引っ張りや痛みはないんよ」
おや、何かが変わっている様子(先週までは聞かずとも痛みの苦労を教えてくれていたはず…)
これは寝転ぶこともできるのではと思い、以前は5分とできなきった、仰向けに寝るよう伝える
5分、10分…楽にできている様子
簡単なボディワークをお伝えし、仰向けのまま少し身体を動かし続けるよう促す
20分、30分と時間が経過
最後に声をかけに行くと、熟睡中(^^;;
足の引っ張り感、痛みは話題に上がらず、まさかの熟睡…
すっきりした様子で「寝てしまったわ」と一言
楽に寝れるようになったんですねと伝えると
「いつも寝れてるよ」と
はい、よくあります笑
昔のことは上手いこと覚えてらっしゃらない
まぁ、今日が楽そうなので、良しとしましょう
この方に対しては、坐骨神経痛に対する直接的なアプローチはせず、ただただ楽な動き(座位で坐骨を転がす)を続けてもらいました
クライアントさんにより対応方法は変わりますが、痛みを深掘りするよりも、一旦遠ざけてしまうほうが良いと判断する場合もあります
まだこの方にとっての「動けない」状況は続いているので、これからの関わりが楽しみです^ ^